有名ない俳優はC・イーストウッドただ1人 秀逸な脚本の上に、光るセリフと演技 仕事を引退し、妻に先立たれた初老の男の日常彼の隣人と、街にはびこる不良少年たち これぞ映画の真髄、 心に響く人間ドラマだ! (C) 2009 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)の住むミシガン州は、自動車工業で発展した町。
彼は長年フォードの自動車職人だったが引退した。
その後、息子たちは独立し、妻に先立たれ、単身生活を送っている。
頑固で、偏屈な親父だ。 妻の葬儀では集まった息子家族、参列者、神父にまで毒づき、つばを吐く。
参列者には「ハムを食いに来ただけだ」。
牧師には「頭でっかちの童貞」と。
ウォルトの家の隣には、モン族の家族が引っ越してきた。 町は工場で働く、多くの移民が住んでいる。 家の修理もせず、庭の手入れもされていない、そんな家が増えた。
ウォルトはそんな周囲を見て、あきれ、移民たちへの不満を口にする。
ここで生まれた若者は、民族ごとに徒党を組んで、自衛している…。 ウォルトの隣人タオ(ビー・バン)は、学校にも行かないいじめられっ子。 ある日、彼が白人の不良グループにからまれていると、
いとこのスパイダーたちモン族のグループに助けられた。
そしてモン族のグループは、タオを一味に引き込もうと、誘うのだった。 ある晩ウォルトは、自分の家の倉庫の異変に気づく。
ライフルを持ち、倉庫に入ると、愛車グラン・トリノを盗もうとする少年を発見した。 後日、ウォルトがひと仕事終え庭で休んでいると、モン族の不良グループがタオを誘いに来た。
タオに近寄る彼らは、うっかりウォルトの家の庭に入ってしまった!
ウォルトはライフルを構え、「うちの庭に入るな」と威嚇するのだった。 不良グループは退散し、ウォルトは隣の家族から感謝される。
さらに隣人から、お礼のしるしとして、料理・花・植木が運ばれてきた。
しかし、ウォルトは迷惑そうな顔で、「ゴミを持ち込むな」と怒鳴るのだ。 これをきっかけに、タオの姉スー(アーニー・ハー)は、ウォルトに親しみをもつ。
スーは、明るく積極的な性格で、アメリカの生活にすっかり溶けこむ女の子。 ある日スーの家では、大勢のモン族の集まるパーティーが開かれていた。
ウォルトが家の前で、ビールを飲んでいると、スーは彼をパーティーに誘った。 彼はあっさり断るが、缶ビールを飲みほし、冷蔵庫にもない。
スーは、「家に来れば、ビールもご馳走もたくさんあるわよ」
しかたなく、ウォルトは招待を受けるのだった。
初めは、モン族からの冷たい視線を感じ、 なじめず、料理にも手を触れない。 モン族の祈祷師のお告げに、的確に指摘され、自問する。
スーに連れられ、モン族の若者たちの集まる地下室へ。
そこで孤立するタオを見て歩み寄り、声をかけるウォルト。
「あの子が好きなら、自分から声をかけたらどうだ」。
タオは、車を盗みに入ったことを告白した。
お詫びのため、家族はウォルトに、タオに奉仕させると申し出る。
それからウォルトとタオのふれあいが始まった。不器用だが、熱心に手伝いをするタオ。
それを見て、心を開き、父親のように接するウォルト。
タオを見直したウォルトは、知り合いの建設現場の仕事を紹介する。
さらに、仕事に必要な工具を買い与えた。
ある日の仕事の帰りに、タオがモン族の不良グループに襲われた。 工具を 取り上げられ、顔には火のついたタバコを押し付けられる。 この事実を知ったウォルトは、その少年たちのアジトに行き、 リーダーを殴り散らす。 不良たちはその復讐に、車に乗ったまま、タオの家に向かってマシンガンを打ち込み逃走する。
被害は少なかったが、スーの姿はなく、行方がわからない…。
家に戻ってきたスーは、顔を殴られ、乱暴された姿で帰ってきたのだ。 ウォルトは自宅で、悩み、考えあぐねていた。 そこへ、タオがやってきて、「今すぐ報復しにいこう」と叫んだ。
ウォルトは、タオをたしなめるが、彼の気持ちは収まらない。
「夕方4時にもう一度来い」と、ウォルトは言った。
タオは言われたとおりにやってくるが、ウォルトはタオを地下室に閉じ込める…。
そして、彼は1人で不良少年の家に向かい、
“ この争いを永久に収める最善の方法 ”を実行するのだった! 【ひとこと】
昔気質のウォルト、街と移民の日常が描かれ、彼の汚いセリフには笑いが漏れる。
隣人とのふれあい、不良グループとの応酬が、悲しい結末へ導かれる。
深いテーマと緻密なシナリオが、こころに響く秀作。
オススメ ★★★★★
完成度 ★★★★
脚本度 ★★★★
【キャスト】
クリント・イーストウッドほか
【公式ページ】
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
【予告編】